初心者には良い本です
たしかに誤りも多いようなのですが、 ある金田一耕助ファンサイトでは、 「金田一耕助初級〜中級者には絶好の副読本」であり、 「非常に良心的な作り」をしていると評されています。 著者は、角川書店で「野生時代」の編集をしていたこともあるそうで、 横溝正史とその作品に対する愛情が十分に伝わってきます。横溝正史のご遺族から提供された写真も多数載っています。 上級のファンの方は、 基本的な誤りが少なくないことに不満を抱くかもしれませんが、 初心者の私には良い本に思えました。
買うだけの価値はない
この本の著者は、原作を読まずにこの本を書いている。「まさか」と思うかもしれないが、本当である。その証拠に、原作を読んだことがある人間なら絶対書かないようなでたらめな記述が散見される。 たとえば、P.57で与三松が「地下の座敷牢」に閉じ込められていたという内容の記述をしているが、原作には「地下」とは書いていない。むしろ、日当たりがよい、とされている。また、P.17で「さらに、エッセイのなかで、この「生涯の仇敵」金田一氏というキャラクターは、…」と書いているが、原作を1度でも読んだことがある人には分かるが、「生涯の仇敵」と「金田一氏」とはまったく別人である。それを、「生涯の仇敵」=「金田一氏」と思い込むのは、原作をまったく読んでいないからである。 出版社がなぜこれほど杜撰な本を出版したのか、この謎は「生涯の仇敵」なる金田一氏に解いていただく他はなかろう。
二見書房
金田一耕助The Complete―日本一たよりない名探偵とその怪美な世界 (ダ・ヴィンチ特別編集 (6))
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