児童向けミステリと思って油断した
『探偵伯爵と僕』は講談社が「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」ミステリーランドシリーズとして配本した1冊で、まぁいわゆる小中学生向けのミステリー小説という位置づけです。ちょっとガッチリとした装丁で、文字も大きめ、振り仮名もしっかりと全てにふられている。図書館ではちゃんと児童書のところに保管されています。そんな本です。
まぁ、つまりですね。現代の作家が児童向けに真剣にミステリを書いてくれているというこのシリーズが本当にうらやましいわけですよ。読めよ、少年少女。
で、『探偵伯爵と僕』です……ようやく本題に戻りました……。
いやー、良いですよコレ。
導入部からいかにも児童向けのミステリ本らしいテイストが満載で、実に懐かしく読んでしまいます。ホントに小学生の時に図書室の窓際の本棚に座っているような感じ、図書館で借りた本の湿った匂いまでちょっと嬉しかったり。
正直なところ最後の最後までやっぱり児童向けとしか評価してなかったんですね。面白いけど、ちょっと今のウチには物足りないなぁという感じやったんですが……油断してました……ラストの手紙で評価がドン! とあがりました。☆3から悩んで結局☆5にしました(4.3ぐらいかもしれんけどね)。
実はトリックというかネタとしては、ミステリの定番のネタなんですが、「児童向け」と最後まで信じていただけに、油断としか言いようがないですね。「かつて子どもだった」ウチが、昔からのミステリ好きの方にホンマにお薦めします。
素直に楽しめます
森さんにしてはとってもストレートです。しかし短編ほど情緒的でもなく、どことなく懐かしい雰囲気で読めました。「少年少女のためのミステリー」というイメージに意外なほど直球できたなぁ。
主人公の子どもの、子どもらしい理屈と、それに真面目に答えてくれる伯爵のやりとりが大変良いです。正直一番の見所はそこだと思う。まあ、ミステリーランドシリーズは全体的にミステリというお楽しみもある「お話」という毛色が強くて、そこも好きなところなんですが。読んでて素直に楽しいです。
秘書の彼女はなんとなく森さんの趣味で出したのだろうかと思いました。や、『ZOKU』の雰囲気をちょっと思い出したのですよ。
とっつきやすいので森さん苦手な方でも大丈夫かと。むしろマニアックに好きな人には食い足りないのじゃないかと思います。理系じゃないわ。でも考え方は「ああ、森さんだね」という感じ。読み終わった後、満足のため息をつきました。
懐かしく感じる探偵小説かな。
自分が小学生のときに呼んだ雰囲気のある探偵小説と感じました。 適度なレトロ感があり、ストーリーの進行するテンポもよくて楽しめました。 最後にアッといわせる展開も二重マルですね。ちょっと残念なのは、小学生向けっぽくて話が簡単すぎる点です。 探偵伯爵の人柄も面白く、シリーズ化して欲しい作品です。
電柱
森博嗣さんの本を読んだのはこれで2冊目。まだまだ全然初心者で、作者のクセとかもまったくつかめてない人間が読んだところ…… おもしろかった!\(^o^)/ 伯爵と僕のとぼけた国語の授業(みたいな会話)がかなりツボでした。 新太くんわかってないなら無理してことわざ使うことないのに……。 森博嗣作品は水柿助教授のなんたらしかほかに読んでないけれど、理屈っぽくてとぼけていてまぬけな感じがいいですね〜。 しかし最大のツボは山田章博さんのイラストの伯爵でした…… 表紙のブランコにのった伯爵も相当なもんでしたが、あの見開きいっぱいに突如広がる不思議ワールド……電柱に登ってどこかを見つめている伯爵のイラストが、怪しさ大爆発、大噴火! あのイラストは奥深いですよ!山田章博さん、ちゃんと本文読んでますね!作者の描写をイラストレーターが超えた瞬間だと思いました。何もかもを物語る、すばらしい挿絵でした、拍手!(^v^)
懐かしい感じ
何だかとても、懐かしい探偵小説を読んでいるような気がした。 もちろん、良い意味で。 伯爵の風貌のせいだろうか。 主人公は小学生の男の子。 子ども向きとはいえ、伯爵と僕との会話の中で、 現代社会の問題点や犯罪に対する考察等も描かれており、 大人も考えさせられる。 読み終わっても終わらない、森ミステリの余韻もしっかり健在。 山田章博氏のイラストが、また素晴らしい味付けをしてくれています。
講談社
透明人間の納屋 (ミステリーランド) 虹果て村の秘密 (ミステリーランド) いつか、ふたりは二匹 (ミステリーランド) 黄金蝶ひとり (ミステリーランド) 怪盗グリフィン、絶体絶命 (ミステリーランド)
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