視野が広がる本
スタラチャードファイナンスの理解だけではなく、実際にそれを活用したビジネスモデルの概要まで幅広く書かれており、読むとビジネスアイディアが生まれる本だと思います。 最近の金融コングロマリット戦略は、この本を読んだ官僚が作ったのかなという気がしました。 ただし、金融コングロマリットの落とし穴には触れられていないことが残念です。
モジュール化の金融版
最近、モジュール化についての書籍を集中的に読んでいる中、本書の存在を知り早速読んでみて、考え方の共通的なものがある事に驚かされた。複雑化しつつある社会を如何に創造的に変革して生き残るかを考える上では、この様なアプローチを思考訓練の為にも必要なことを再認識した。 金融の観点からは、著者の前作のストラクチャードファイナンス入門と同様、実務、法務などあらゆる角度からの分析がなされ、金融関係者は、コンサルタントがよく書く単なる構想の提示とは全く異なる正面から著者と対面する気概をもって読むべき本だと思う。
単なるノウハウ本ではない
著者は、ストラクチャードファイナンスでも著名だが、 その後、外国保険会社で経験を積まれており、その発想や知識(長期リスク管理や遅れたリテール網の改革)が大幅に盛り込まれており、面白い。 ここに書いてあることは、欧州とくにイギリスやオランダの金融機関だと常識的なことだが、筆者のいうコーポレートバンク(産業銀行とかインダストリアルバンクといってもよい)の圧力が浸透したわが国では、理解されない、あるいは論点がずれる傾向にある(審議会テーマと、海外動向との違いからも、あきらかであろう)。同様の意識をもつ金融関係者に、よい手がかりを与えてくれたことを感謝したい。
ファイナンスに興味がある人必携
著者は「ストラクチャードファイナンス入門」でとても有名な方でして、その本は証券化案件担当者必読と言われている一冊です。今回の著作も恐らく後5年くらいはマストリードとして君臨することでしょう。本当に現状の金融機関の状況が的確に説明されています。この様な本の大半が、「欧米ではこうこうです。。。」といったアプローチのみで終了というイメージですが、やはり著者が現場の人だけあって日本に特化した説明がされており、関係者は目から鱗。それもキャピタルマーケット関係者とか狭い範囲に限定されず、全ての金融機関関係者そしていわいる大企業の財務担当者の方にとっても必ず意味があります。もしケチをつけるところがあるとすれば、まあ第6章でしょうか。それにしてもこのような広範囲をカバーしつつ実践的である書物というのは何年ぶりなんでしょうか。星5つどころか10個つけてもつけたりない書物です。
非常にお勧めです!
(詳細は別として)概念的に非常に参考になる本です。私も90年代を通し、ウォールストリートの投資銀行で働き、同時にモーゲージの証券化を学んだ者として、著書に書かれている内容をストレートに理解できました。ただ著書の中で言う、モーゲージアグリゲーター(例えば日本住宅ローンのようにマルチチャネルを通して住宅ローンを集め、大規模なサービシングポートフォリオをマクロで管理するオリジネーター)とモーゲージコンデュイット(例えば住宅金融公庫のように住宅ローンを買い取って証券化する機関)の定義があいまいだったのが多少気になりました。アメリカでは、通常、モーゲージアグリゲーターとはカントリーワイドのような大手モーゲージバンカー兼サービサー(もちろん民間コンデュイットの関連会社も持つ)のことを指し、著書でモーゲージアグリゲーターとして定義されているグッドローン社のような本来はブローカー/コレスポンデントが大規模なサービシングプラットホームを持つことや、ましてや(コンデュイットとなって)自ら証券化する機能を持つことはあまり現実的ではありません。 いずれにせよ、今後、このような著書が日本の住宅ローン市場関係者に読まれ、住宅ローン証券化市場が更に発展していくことを切に願います。
日本経済新聞社
電子債権 経済インフラに革命が起きる ストラクチャード・ファイナンス入門 銀行の戦略転換―日本版市場型間接金融への道 米国金融機関のリテール戦略―「コストをかけないカスタマイズ化」をどう実現するか 金融サービス業の戦略思考 (Harvard business review anthology)
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