金融世界のリスクを具体例で紹介
金融リスクには様々な種類のものがある。市場リスク、信用リスク、そして金融システムそのものが破局する「システミック・リスク」である。この第3巻では、そのリスクを出来る限り迅速に収束し、被害の拡大を食い止めた人々の人間模様を描く。 具体的にはドリームチームであるLTCMの巨大損失を伴った破綻、イギリスの老舗銀行であるベアリングス銀行、そして、日本の大和銀行のアメリカ支店の破綻とその処理の顛末である。 さらに、ブラックマンデーと呼ばれるニューヨーク株式市場を襲った大暴落事件に対してニューヨーク連邦準備銀行や連邦準備制度理事会が打った手とその理由などが語られる。 金融とはお金の貸し借りである以上、相手が貸した金銭を返済してくれないリスクを常に持っているのであるが、いつしかその事実を忘れ、市場取引が100%保証されると信じて金融派生商品が出回った結果、実体経済の実に数百倍というただの数字がコンピュータ・ネットワークを通じて地球を行き来してしまっている現状とその危険を指摘している。 いつの日か、個人の預金もお札も何もかも保証されない世界が来るかも知れない。そんな恐怖の世界で我々は何も知らずに生きているのだと・・・。
これからの対処の為に
マネー革命全三巻で 金融の世界、ヘッジファンド、金融工学 などがよく分かるだろう。そしてこの第三巻で、私たちは この不安定な金融の世界で生きて行く為に どうして行けばいいか どういうことが必要であるかを 考える指針を得ることができる。 新時代の幕があけたのだ。 賽(さい)は投げられた。 我々はこの時代から逃げるのではなく、 この時代をよく知り、 勝ち抜かなければいけないのだ。 本書はそれを考えさせてくれるだと言える。
金融工学の光と影
放送当時のNHKスペシャルの番組映像も大事に保管しています。 Markowitz, Sharp, Black, Scholes, Mertonなどノーベル賞受賞者である金融工学のエリートたちにスポットライトをあてた2巻よりは、オレンジ郡、ベアリングズ銀行、大和證券ニューヨーク支店、LTCMなど、デリバティブ取引に失敗した例をフィーチャーしているこの巻のほうが、いろんな意味でためになると思います。 理論的にはフェア・ゲームなら負けるたびに掛け金を倍ばいに増やしていけば(有限時間でゲームが終了せず、取引量に制限がなければ)確率1で正の利得を得ることがわかっているので、これまでの失敗を次のチャンスで取り戻そうと不正取引に走るトレーダーの気持ちは単に人間心理以上に痛いほどよくわかります。 いただけないのは、「やっぱりものづくりが大事でしょう」という相田氏のコメントです。もちろん相田氏のコメントは正しい。しかし、製造の現場もリスク・マネジメントが不可避な現代にあっては、それだけしかいえないというのは少し寂しいですね。
日本放送出版協会
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